「加齢」と血圧 Topics

正常血圧は加齢により上昇します

正常血圧は加齢により上昇します

 メタボ検診の高血圧基準では、年齢に関係なく「140/90」で受診勧奨、「130/85」で保健指導というラインが引かれました。これは「年齢に関係なく」という点が重要です。

 これにより非常に多数の高齢者が「健康なのにもかかわらず、高血圧の基準で引っかかる」という事態になってきました。これらについて少し説明しておきましょう。 人間は、年をとれば誰でも血圧が上がるのが普通なのです。

 血圧の大きな役目のひとつは脳や抹消の細胞に新鮮な血液を送り届けることですが、年をとると、血管に柔軟性がなくなってだんだんその力が弱まってきます。だから加齢に伴い血圧を少しづつ上げて、脳や体に必要な新鮮な血液を送り続けているのです。

 すなわち、高齢になるにしたがって少しづつ血圧が上昇しているのは元気な証拠でもあるわけです。データでもおわかりいただけるように、血圧の基準範囲は加齢に伴って「右肩上がり」になるのが自然です。

 以前は血圧が高すぎると血管が破れて脳出血などの重大な疾患を招くと言われてきましたが、栄養状態のよくなった現代人ではそういうケースは減ってきています。それに、「t-PA」という薬剤に関する脳梗塞治療のガイドラインにおいては、病人でも血管は185mmHgまで破れないとされています。

 しかも、普段の血圧が160mmHg以下であれば、多少高くなったとしても185mmHgを超えることは少ないし、健康な人でも185mmHgより少し高くてもすぐに血管が破れるわけではありません。

 要するに、年をとってくれば、多少血圧が高めなのは健康の証拠であり、そんなに大心配する必要はないのです。それなのに、メタボ検診では若い人も高齢者も一律のラインを引いて、「血圧が少し高ければ健康な年寄」をたくさん病人にしてしまおうとしているわけです。

 血圧は決して「高いと怖い」というわけではありません。血圧はむしろ低すぎるほうが危険。私のデータでも、70代、80代の高齢者では血圧が低すぎると死亡率が上がることがわかっています。

(「100歳まで長生きできるコレステロール革命」より引用)

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