「医療事故」と「医療過誤」の違い Topics


 医療法律相談を受けるときに、よく患者やその家族からこう言われます。「病院は医療事故を認めているので、賠償してもらえると思います」しかし、詳しく話を伺ってみると、病院側は「医療事故」が起きたこと自体は認めているのですが、「医療過誤」(医療ミス)を起こしたことは認めておらず、賠償されないケースが大半です。

 医師や病院が医療事故を認めても、それが必ずしも医療ミスを認めているとは限らないのです。患者と医療者の間でこのような認識の行き違いが起こる原因は、「医療事故」という言葉にあるでしょう。事故といえば何らかのミスがあったことが前提になります。ところが医療事故は「過失がある場合」と「過失がない場合」の両方を含みます。

 これが患者側に誤解を与える原因になっているのでしょう。医療過誤は「過失がある場合」のみを意味し、「医療事故=医療過誤」ではありません。なお、医療過誤という言葉は医療関係者が使う言葉ですので、本書ではこれ以降医療ミスと表記します。

 「過失がある場合」とは、たとえば心拍監視装置のアラームを切っていたため心肺停止に気づかず、心肺蘇生措置の開始までに時間がかかり亡くなったなど、明らかなミスがあるケースです。一方、「過失がない場合」とは、やむを得ない合併症を指します。合併症とは、ある病気が原因となって起こるほかの病気や、手術や検査がもとになって起こる病気を意味します。

 たとえば耳下腺腫瘍の手術では、耳下腺内を通る顔面神経の温存に配慮しながら腫瘍を切除します。しかし、悪性度が高く、がんが顔面神経や周囲組織へ拡大している場合は、きちんとがんを取り切るために、それらを合併切除する必要が生じます。

 そのため、手術に伴う顔面神経の損傷による顔面神経麻痺の後遺症が術後に現れることがあります。これは手術に伴う「やむを得ない合併症」になります。医療ミスとは言えず、病院に責任を追及できません。医療事故のあと、患者やその家族が病院に損害賠償を求めると、病院から「道義的責任は認めますが、法的責任は認めません」という回答が来ることがよくあります。

 これは「過失のない医療事故」を意味します。つまり、「事故が起きて申し訳ないとは思うけれど、過失はないから損害賠償には応じられません」という意味なのです。

(「医療事故に「遭わない」「負けない」「諦めない」」弁護士・医学博士 石黒 麻利子 2018.1.1初版 扶桑社新書より引用)

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