なぜ日本人の体温は下がったのか Topics


 なぜ、日本人の体温がこの50年で1℃も低下してきたのだろうか。次に、その原因を列挙してみる。

体温低下の原因➀-筋肉運動、労働の不足

 交通機関の発達や電気洗濯機、電気掃除機などの普及により、我々日本人は半世紀前までの日本人に比べて「歩かない」「労働しない」・・・という生活になり、筋肉を使う頻度が急激に減少した。体温の40%以上は筋肉で産生されるのであるから、筋肉運動の不足は、低体温化の大きな原因となっている。

体温低下の原因➁-塩分摂取の極端な制限

 1950年代に、アメリカの学者K・H・ダールが鹿児島から青森までの住民の塩分摂取量を調査したところ、鹿児島の人たちの摂取量は1日約14g、北に行くほど増加し、青森の人たちの塩分摂取量は約28gもあった。しかも、塩分摂取量の多い東北では、高血圧や脳出血に罹患する人が多いこともわかり、塩分→高血圧→脳出血の図式ができあがった。

 そして1960年代以降、東北地方から始まった減塩運動が全国に展開されることになった。それで全国的に高血圧の患者が減ったかというと、それは逆で、今や6000万~7000万人にも増えている。脳出血の患者をみると、確かにその数は減った。しかし、脳梗塞の患者は増加しているのである。

 塩分は、体を温める作用があるからこそ、現在のように十分な暖房設備が整っていなかった頃の東北地方の人々の塩分摂取量は多かったのである。もし、当時東北地方の人々が十分な塩分を摂っていなかったら、「高血圧→脳出血」で倒れる10年も20年も前に、「冷え→肺炎・リウマチ・うつ病」などの病気で、むしろ早死にしていた可能性もある。

 すべての生命の源は、約30億年前に海水中に誕生したアメーバ用の単細胞生物である。約3億年前のデボン紀に、一部の脊椎動物が陸に上がってきたが、そのまま上陸すると干からびてしまう。よって、海水と同じものを体内に携えて上がってきた。それが血液である。文字どおり、「血潮」なのである。

 血液や羊水の浸透圧と海水の浸透圧は酷似しているとされているし、鼻水や涙も塩辛い。我々人間の60兆の細胞は、今でも血液という海の中に浮いて生活しているのである。英国やフランスでは、リウマチやぜんそく、高血圧などの病気を海水で治すタラソテラピー(海洋療法)が存在する。

 日本では葬式や上棟式などで「清めの塩」が使われるように、塩にはあらゆる邪気を清めるという意味もある。この生命活動に必要不可欠な塩を制限しすぎたのも、低体温化の大きな要因である。

低体温化の原因➂-水分の過剰摂取

 日本人の死因の2位(心筋梗塞)と3位(脳梗塞)が血栓症であるため、「血液をサラサラにする」という大義のために「1日に2ℓ以上の水分を摂るように」とか「1日中こまめに水分を摂取するように」などという指導が巷でなされている。

 しかし、「雨にぬれると体が冷える」し、「風呂上がりに十分に体を抜かないと湯冷めがひどくなる」ように、「水には体を冷やす」作用がある。「冷却水」と言う言葉もあるように、「水」=「冷やす」ものなのだ。

 つまり、別に飲みたくもない水を本能に反して無理に飲めば体を冷やす。そうして体内に水分が溜まった状態を、漢方では2000年も前から「水毒」と言う。

体温低下の原因➃-体を冷やす食べ物の摂りすぎ

 西洋医学・栄養学では、食べ物を焼いて、ある一定の量の水温が1℃上昇する熱量を1キロカロリーとしているが、食べると体を温める食べ物や、逆に冷やす食べ物が存在するという概念はない。漢方では、2000年も前から、冷え性(陰性体質)の人には陽性食品を、暑がり(陽性体質)のひとには陰性食品をしっかり食べさせ、体質を中性にして健康増進や病気の治療に役立ててきた。

 それらを照らしてみると、暑い夏にはおいしく感じる食べ物は体を冷やす陰性食品であり、寒い冬においしく感じる食べ物は体を温める陽性食品だといえる。体に必要だからおいしく感じるわけで、こうして厳しい熱さや寒さをしのごうとする体の働きである。

実際に、夏に陰性の食品のキュウリ、スイカ、トマト、ビールを摂るとうまいし、冬には陽性食品の肉、卵、醤油、ネギですき焼きを作って食べると美味なのである。たとえ似たような食べ物で、しかも含有カロリーが同じでも、体を冷やす食べ物(陰性食品)もあれば体を温める食べ物(陽性食品)もあることを覚えておいてほしい。

 食べ物の陰陽は、硬さ、塩/酸、動物/植物、産地・・・等々で決まってくるが、一番簡単な見分け方は、外観の「色」である。青・白・緑色のものは陰性食品、赤、黒、橙色のものは陽性食品と考えていい。体に冷やす食べ物が、即、健康に悪いというわけではないが、1960年代以降、我々は体を冷やす陰性食品を摂りすぎている傾向が強い。それが体温低下の原因となっていることは間違いないだろう。

体温低下の原因➄-湯船に入らずシャワーで済ます入浴習慣

 最近、若者を中心に、湯船に入らずシャワーだけで入浴を済ませる人が増えている。シャワーでは、体の汚れは落とせても、体を温める効果は期待できない。湯船につかり、汗がジワリと出てくる頃には、体温が約1℃上昇し、免疫力が一時的には5~6倍にも高まる。

 よって、湯船に入る習慣のある人とシャワーだけの人とでは、1日、1か月、1年、数十年とたつうちに、免疫力=抗病力の差が歴然としてくるのである。

体温低下の原因➅-夏のエアコン

 風薫る5月を過ぎるころから、日本は湿気の多い蒸し暑い時期が4~5か月間も続く。そのため、今ではオフィスをはじめデパート、電車やバス、家庭の中など、ありとあらゆるところにエアコンが設置されている。

 私のクリニックへ受診に来られる、肩こり、頭痛、腰痛、夏風邪、むくみ、生理不順、生理痛といった「冷え」による症状を抱える患者さんたちは、冬より夏のほうが多いほどである。そのうちの多くの方が「冷房病」である。

 人体は、夏には基礎代謝を落として産熱を少なくするような仕組みを備えている。また、日本人はキュウリ、スイカ、カキ氷、冷や麦、そうめん、ビール・・・等々、体を冷やす食べ物をたくさん摂って、暑さをしのいできた。

 そのように、もともと体熱の産生が悪い夏の体を、1日中エアコンで冷やし、しかも体を冷やす食べ物を余分に摂っているのだから、我々現代人の体は、夏には甚だしく冷やされ、それを1年中ひきずることになるのである。

(「お腹を温めれば病気にならない」石原 結實 2010.3.1第一版 廣済堂より編集引用)

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