不安定こそ生命の本質 Topics


 自然は原子という微小な部分から、巨視的な地球にいたるまで、相反するものでなりたっている。水素原子というミクロの世界では、中央に核があってそのまわりを電子がフルスピードで旋回し、この対立が統一された構造になっている。核はプラスの電気をおび、周囲をまわる電子はマイナスの電気をおびている。

 プラスとマイナスという対立するものが統一されて、一個の水素原子をつくっている。この統一を破ることによって得たエネルギーが核爆発だ。細胞は無数の原子、分子が集まってできているが、その一個の細胞は、酸性の細胞核と、それをとりまく微アルカリ性の細胞質からなりたっている。

 ニワトリのタマゴも、中央の黄身は酸性でそれを包む白身は微アルカリ性で、その対立が統一されてなりたっている。地球は北極と南極で、NとSという対立した磁性を示すように、自然現象や生命現象はすべての矛盾対立をそのなかにもっているのである。

 これらすべてのものにひそむ対立は、男と女のようにおたがを補いあっているが、それは決して固定したものではなく、ときにはマイナスが優勢になり、またときには、プラスが優勢になったりしながら流動的なバランスをたもつ。よせては返す波のようにその消長を繰り返している。

 生命という現象も数知れない矛盾と対立をもっている。動脈と静脈、自律神経の交感神経と副交感神経、これらは対立しながらおたがいに補いあってからだの生理的作用を順調に運んである。これがリズムを失うと、自律神経失調症という病気になる。

 生物におけるこの矛盾対立は、つねに動的で、そして、だいたいにおいて平衡状態にある。だが、完全な平衡状態ではなく、そのとき、そのときによってどちらか一方が力をもつ。たとえていえば右足と左足がかわるがわる使って歩くように、その繰り返しによって生命をたもっているのだ。

 生体が一定の平衡状態に達すると、その安定をきらう力が働き、不安定な状態へ移り、つねに動揺を続けようとする。ところがこの対立がなくなり、完全な平衡状態になると、これはすなわち生命の死を意味する。

(「よみがえる千島学説」悴山紀一 1998.5.30 (株)なずなワールドより引用)

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