体表(経穴)と内臓の関係 Topics

経穴の科学的考察

 経穴の存在を科学的に裏付けるためには、体表の経穴からの入力情報が内臓に伝わる点、そしてその点がつながっているような場を想定する必要があります。そのような場所としては、脊髄分節と大脳感覚野の二つの可能性が上げらると思います。

体表と脊髄分節

 脊髄は竹のごとく節に分かれています。身体の皮膚への刺激は、その部位によって異なる節に入力されます。一方、内臓からの神経もそれぞれ異なる節につながっています。

 そのため身体の表面の皮膚の特定の部分への情報と、特定の内臓から来た情報が同じ節の中で交錯することになります。その結果、これは現代西洋医学でも認められている現象ですが、内臓の異常が、身体の表面、特定の部位の皮膚の痛みとなって現れることがあります。

 これを関連痛といいます。たとえば、心臓の異常は左胸から左手の内側を通って小指までの体表に痛みとして現れます。胃の病変はみぞおち、膵臓の病変はその下の腹部表面に現れるのは、まあ順当に思えますが、胆嚢の病変はなんと右肩に現れます。

 このように脊髄で皮膚からの神経と内臓への神経(あるいは皮膚への神経と内臓からの神経)へとそれぞれの情報が交錯します。そこで体表の経穴と内臓との連絡が成立している可能性があります。

体表と大脳皮質

 一方、大脳皮質の体性感覚野の分布をみると必ずしも頭の上から足の裏まで順番に並んでいるわけではありません。親指の隣りに目があったり、足指の隣りに生殖器の感覚野があったりします。

 さらに注目すべきは、内臓に作用する経穴が集中している耳の体性感覚野の隣りに内臓感覚野が存在していることです。ですから耳介の経穴への刺激が大脳皮膚感覚野で内臓感覚野に刺激を及ぼす可能性もあります。

脊髄と大脳を経由する体表と内臓の関係

 脊髄や大脳皮質感覚野は全身からの情報が交錯している、集中情報管理システム室です。そこには体表からの情報もあり、内臓からの情報もあり、逆に結果として体表や内臓に向かう情報もあります。

 それらの交錯の結果、体表の特定の点と特定の臓器が結びつき、経穴となっているのではないでしょうか。

(「皮膚は考える」傳田光洋 2005/11/3 岩波科学ライブラリーより引用)

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