「Eat Butter」(TIME誌) Topics

TIME誌 6/23号 特集「Eat Butter」

TIME誌 6/23号 特集「Eat Butter」

 TIME 6/23号の特集記事は、かなり膨大でとても全部紹介はできませんので、ポイントのみ紹介します。興味のあるかたは、ネット上でくわしく検索できると思います。

脂肪悪玉説の由来と経過

 脂肪悪玉説の始まりは1950年代のアンセル・キーズ博士の7か国研究です。世界中をまわり、食事と心疾患の因果関係を調べ、飽和脂肪酸が心疾患の原因であることを突き止めたとされています。

 この研究をもとに、米心臓病協会、上院(マクガバンレポート)、米農務省などが脂肪を減らす食事を推奨し、それに低脂肪をキーワードとした食品開発により売り上げを増大させていく食品業界、原料としてとうもろこしの生産を増大させた農業、近代医療や栄養学の中に1980年代にはしっかりと組み込まれていくなかで、異論をとなえることができない神話となっていった様子などが紹介されています。 そして、この脂肪を制限した40年間にわたるアメリカの栄養実験は失敗に終わりました。

 脂肪を制限するかわりとして炭水化物の摂取量が増大し、肥満と2型糖尿病を増大させたのです。 脂肪の果たす役割の研究や、炭水化物は代謝されれば糖に代わりインスリンの分泌をもたらし、それこそが太る原因であること、低脂肪や低カロリーでは空腹感がまし、減量ダイエットはうまくいかないことなどもきちんと説明されています。

 キーズ博士の研究は初めに結論ありきで、都合の良いデータを恣意的に採用していたり、都合の悪いデータを意図的に無視したりして、現在の疫学的調査の基準はとても満たせないものであることも明らかにしています。

 最近になって科学者たちは脂肪と心疾患に因果関係がないとする疫学的研究を発表し、ついに脂肪悪玉説は常識とはいえなくなったわけです。

糖質制限及び日本の現状

 この記事の中で糖質制限(ultra-low-carb-diets)も紹介されていますが、積極的に推奨しているわけではありません。(否定しているわけでもありません)そして肉食中心となった場合の大腸癌への懸念があることや加工肉の問題点、肉食中心となっていったときの地球規模の食糧の問題などにもふれています。

 炭水化物の過剰摂取も肥満の程度も日本に比べアメリカのほうがはるかにひどいようです。しかし少なくともアメリカの科学者たちはその原因をはっきり理解しつつあるようです。
科学における巨大なパラダイムシフトであるという表現もありました。

 しかし、産業構造にしっかり組み込まれ、40年間にわたって刷り込まれた考えを変えさせていくことは容易ではないだろうと書かれています。

 日本においては糖尿病学会会長がいまだ糖尿病の原因は脂肪の取りすぎと運動不足による肥満であると主張し続けている状況ですが、それは記事の中で完全に否定されています。

 糖質制限の危険性うんぬんの問題とは別次元の話であります。糖質制限の安全性を議論するより(長期の結果が出るのは将来の話ですから)、すでに結果の出ている、脂肪悪玉説の間違いを正していくことが重要だと、この記事をよんで思いました。

(6/27 鹿児島 鈴木内科クリニックホームページより引用)

(関連記事)
「LDLコレステロール」

LDLコレステロール