遺伝子と個体差の関係 Topics

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 たとえば同じ両親から遺伝子を半分づつもらった兄弟が、似てはいるが、少しづつ違った顔や体つきをしている。あるいは両親とは微妙に異なる特徴や形質をもっている。これも考えてみれば不思議なことです。父と母から一組づつの遺伝子をさずかったにもかかわらず、私たちはなぜ少しづつ異なるDNAをもっているのか。

 これは私たちの精子や卵子の中で、父親からもらった遺伝子と母親からもらった遺伝子がまざりあって、組み換えが起こるようになっているからです。その組み換えパターンは精子と卵子のそれぞれで840万通りづつと考えられてます。その精子と卵子が結合した場合、同じ遺伝子をもつ子どもが生まれる確率は約70兆分の1。したがって限りなくゼロに近くなります。

 遺伝子の組み換えによって、兄弟といえども、この世にまったくのコピー人間ができない仕組みになっているわけです。では、それはどうしてなのか。正しい答えは私たちの創造主に聞いてみるしかありませんが、種の保存のために遺伝子が自己防衛しているのではないかという説があります。ある生物にとって、適応するのがむずかしいような急激な環境の変化が起きた時、同じ形質(遺伝子)をもつ個体が多ければ多いほど、その種が絶滅する確率は高くなります。

 たとえば寒さに弱いものが多い種は、氷河期には一気に絶滅の危機にさらされてしまいます。そこでそのリスクを避けるため、できるだけ個体のバリエーションを増やすことで、環境変化に際しても、ある者は死ぬが、あるタイプは生き残って種を継続させる。遺伝子がそのように、個体の多様化によって種の保存を図っているのではないかという説です。

(「生命の暗号② あなたの思いが遺伝子を変える」村上和雄 2009 サンマーク文庫より引用)