PET検査とガン検診 Topics

PET検査

 健康であってもガン検診は積極的に受けるべきだと思う人は多いかもしれない。だが、ガン検診で日本でも人気の高い「PET検査」は旗色が悪い。PET検査とは、放射性を持った糖を注射して、ガンの存在を検出する方法だ。

ガンでは糖の活用が高まるため、放射性の集中する部分があるかどうかでガンの存在を検出できると考えられている。 画像検査の専門的な学会である米国核医学・分子イメージング学会は、「PET検査は健康な人のガン検診に使ってはならない」と「Choosing Wisely」で断言している。

 学会によると、その理由は健康な人でガンが見つかる可能性が極端に低いからだ。PET検査に関する臨床研究のデータによると、その発見率は1%前後につどまる。明確にPET検査を必要とするような症状がある場合の診断やガンが確認された後の重症度の判定、治療中の効果判定といった時は効果的だが、そうでなければ有害性ばかりが伴う。

 無用な追加的な検査を強いたり、組織を切除する「生検」を実施したりするだけでなく、不要な手術につながることすらあり問題が大きい。ちなみに、学会はCT検査も同様な理由で健康な人には不要だと説明している。

 米国臨床腫瘍学会も、一度ガン治療を受けた人で無症状の場合、PET検査と「PET-CT検査」はガン検診として行うべきではないとChoosing Wiselyのリストに掲げた。PET-CT検査とは、PET検査と体の断面画像を撮影できるCT検査を組み合わせた検査で、より立体的にガンの存在を見つけられると考えられている。

 ただ、画像検査によって治療成績が向上するという臨床研究による根拠はない。さらに、米国婦人科癌学会も、婦人科系のガンの画像検査には慎重な立場を摂っている。「画像検査によるガンの検診を安易に実施すべきものではない。特に卵巣、子宮内膜、子宮頚、外陰部、膣のガンについては避けたい」と説明する。

 理由としては、症状や腫瘍マーカーが上がっていないのに画像検査を実施しても、再発の検出や生存率の向上にはつながらないと臨床研究から分かっているからだ。 これまでの臨床研究によれば、一度ガン治療を受けた人の再発を判断する目的で画像検査を実施しても、その後の治療でいい結果につながらない。ガンがないにもかかわらずガンがあると判定されて、無用に検査されたり、過剰な治療をうけることになったりするからだ。

 PET-CT検査になれば、無用な放射線被曝も起こる。米国臨床腫瘍学会は臨床研究に基づく根拠が足りないと指摘する。日本でも1回の検査に10万ほど支払って検査を受ける人がいるが、その「実力」については前もって知っておいたほうがいいだろう。

(「絶対に受けたくない無駄な医療」室井一辰 日経BPより引用)

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